貢ぎ倒し遊園地

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「そろそろ……か。」 携帯のディスプレイを見ると、もうそろそろ八時になる辺りらしい。 ただいま、俺は駅前で一人、デートの待ち合わせ中。 約束の時間は八時なので、もうそろそろ北原さんがくるはず。 「………はぁ……。」 ……結局、今日は二人っきりでのデートとなってしまった。 こうなるんだったら、一昨日のあれは本当にやめておけばよかったなぁ…… ――――――― ――――― ――― 「あのさ……沙希、ちょっと頼みがあるんだけど……。」 「んー?昼休みに彼女のクラスに来ておいてあたしを呼ぶなんて、相当な用事かなー?」 沙希は悪戯っぽい表情を俺に向ける。 俺は沙希を校舎の屋上――昨日北原さんに告白した場所に呼び出していた。 「ここは屋上だし……まさか、今度はあたしに告白しちゃったりする?いやー、不倫はNGだからね?」 「いやいや、屋上に呼んだのはただ単に、他の人にあんまり聞かれたくないこと言うからだよ。」 告白した翌日、昨日までどこか様子がおかしかった沙希はいつもの元気を取り戻していた。 連ともいつも通りに戻ったし、俺のことも祝福してくれた。 ……まあ、複雑な気分だったけど。 「で、聞かれたくないことって何?ほら、莉奈達もあんまりまたせちゃ悪いしさ。」 「あ……うん……。」 沙希は早く二人の元へいきたくてうずうずしてるらしい。 まあ、今日は初めての四人一緒の弁当の約束が取り付けられて、朝から相当楽しみにしてたから仕方ないけど。 これは、はやく本題を言うべきかな。 …………。 昨日の夜、散々悩んだ。 この選択は、実行すれば恐らく自分に返ってくるダメージは尋常じゃない。 でも、それをしなかった場合を想定するとそれはそれはとてもゾッとする。 だから……自分を否定するようなこの行為だけど……俺はすることを選んだ。 ………よし。 「日曜日っ、ダブルデートしてください!」 「ごめん、それは無理かなー。」 「即答!?」
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