残念な少年の残念な逆走

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「おー、今日も騒がしいですねーお兄さん方。」 俺がイケメン野郎に怒りをぶつけていると、聞き慣れた声が耳に入ってきた。 「あ、沙希。」 「やっ、どーもどーも。」 少し軽い口調の女の子――河井沙希。 ストレートの茶がかった髪をサイドテールにしていて、活発な雰囲気がある。 健康的な見た目に違わず運動神経はかなりのものだし、更には結構頭がいい。 ちなみに俺の不動の四位の原因の一人。 「……で、どうしたんだよ?昼飯中に来るなんて珍しいじゃん。」 「……あ!そうそう!次の授業の英語の教科書貸してくれない?あたし家に置いてきちゃったみたいでさ。」 成る程。英語は忘れると辛いもんな。 「教科書?それだったら雄太のじゃなくて俺の貸してやるよ。ほら。」 「あっ、いーよいーよ。連の教科書汚しちゃったら悪いし。」 「俺のはいいのかよ!?」 今のひどくない!? まあ俺の教科書は既に汚いけど! 「えっと……あ、あった。んじゃ、借りてくね。」 「ちょっ……そんな勝手に……」 「また放課後に返すよ!じゃーねー!」 ……………。 行っちゃった……。 二限後に俺達も英語あるから後で返してもらいに行かないと……。
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