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「うーん……田中の残金を考えると、こっちにしないと帰りの電車賃が……。」
「もう勘弁してください……。」
両手に大きなをカゴ携えた北原さんが、おみやげコーナーで高そうなキーホルダーを見比べて悩んでいる。
どうも北原さんは冗談抜きで残金を根こそぎ奪い取るつもりらしい。
「……うん、こっちにしようかな。ほら、レジに行こ。」
俺の声は完全に聞こえないらしく、完全に俺は財布扱いにされてしまった。
……他の奴らもこんな感じだったのかな……。
「ありがとうございましたー。」
「うぅ……。」
店を出ると、荷物持ちを任された俺はかなりずっしりとした袋を持たされる羽目になってしまった。
まあ、財布は軽くなったけどね!
…………。
「あ、とりあえずこれはケータイに付けておいてね。」
そう言って、北原さんがついさっきまで迷って決めた、星のストラップを俺に渡す。
北原さんの逆の手には同じものがもう一つ見える。
「……ペア?」
「うん。これも作戦の一つ。なるべく見せ付ける感じにやっておいてね。」
作戦……?
まあ、何か意図はありそうだし従っておこうか。
「うん、多少の疑問は気にしないその姿勢が大事だよ。デザイン的にもそれなら恥ずかしくないだろうし、当面は付けてね。」
確かに星なら全然恥ずかしくも無い。
そこまで気にしてくれたのかな。
「じゃ、後は交通費だけよろしくね。明日から食費はあたしが受け持つから。」
「……食費?」
「ま、詳しいことはまた後でね。それより、もう買うものも無いし帰ろっか。」
そういって今度こそ出口へ向かう北原さん。
色々分からないことは多いけど……頼もしい味方なのかな。
どっちみち俺だけじゃ可能性は0だし、ひとまず信じてついていくとしようか。
「……あ、そういえば北原さんの友達フォルダってどのくらいいるの?」
「沙希と田中だけだけど?」
「ええっ!?」
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