残念な少年の残念な逆走

7/29
前へ
/848ページ
次へ
「北原って……あの北原さん?」 「ああ、あの北原だ。」 「…………えぇ……。」 嘘だろ……。 北原さん――北原莉奈(キタハラリナ)。 誰もが認める学校一の美少女。 黒のセミロングに少し気の強そうな顔、そして完璧なスタイルを誇るスーパー女子高生。 「どうだ?美少女だし彼女にするなら文句なしだろ?」 こいつ……意地悪な笑みを浮かべやがって……! 「………いやいやいや何をおっしゃってるんですか。」 確かに北原さんはスーパー美少女だ。 普通に考えればあんな美少女が彼女だったら最高だろうけど……。 「ま、多少の性格なんて気にならない位の美少女だろ?」 「多少で済まないから!」 ……北原さんはその容姿ですらごまかせないレベルで性格に難がある。 誰にでも冷たい物言いをするために皆から煙たがられているし(一部の方々には好評らしいけども)、更には男癖もかなり悪い。 北原さんの性格をものともせずに告白する男は結構いたりもするけど、北原さんはその男達全員にこう答える。 「一週間試しに付き合ってから決める。」 北原さんは土日になるとその彼氏候補とデートに行き、彼氏候補に最低でも5000円を奢らせてしまう。 そしてそれ程の額を貢がせながらも最後には 「アンタは無理。さよなら。」 と一蹴。 かれこれこの半年で10人以上が被害にあっていて、未だ北原さんにOKを貰った者は一人もいない。 まあ要するにほとんど援交状態になっている。 「ほら、北原だったら後腐れなく一週間で別れられるだろ?」 「いやいやそういう問題じゃないから!」 なんて娘を奨めてくるのこの人!?
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2141人が本棚に入れています
本棚に追加