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~~~沙希視点~~~
「……このように三角関数は加法定理さえ覚えておけば、他の公式は全て自分の手で容易に導出することが出来ます。では河井さん、黒板に出て今のやり方でサインの二倍角を出してみてもらえますか?」
「…………。」
なんで……なんでこんなことになったんだろ……
てっきりいつも通りで終わると思ってたのに……
「あの……河井さん?」
「……へっ?あ、はい!」
辺りを見渡すと、周囲の視線は完全にあたしに集められていた。
やばっ!あたし指されてる!
「えー、黒板に加法定理を使って二倍角を表してほしかったんですが……ちょっと難しいみたいですね……。」
「あっ、いえ!出来ます!」
あー、これは聞いてなかったの完全にばれちゃったなぁ……。
まあ、とりあえずは黒板に答えを書かないと……!
カッ、カッ、カッ……
「……っと、こんな感じですよね?」
「あ……はい。」
……ふぅ、でもとりあえずこれでなんとか切り抜け――
「さすが沙希っ!聞いてなくても解けるなんてやっぱりスーパー美少女だねっ!あたし惚れちゃう!」
「「「はははっ!」」」
……しまった。
ここは答えるべきじゃなかったなぁ……。
「……先生、すいません……。」
「あ、いや、河井さんにしては珍しいですね。まあ、日頃の予習はしっかりやっているみたいなので、その疲れが出てしまったのかもしれませんね。では、席に戻っていいですよ。」
「はい……。」
うぅ……最悪……。
駄目だ……あれが気になりすぎて何にも集中出来ない……。
「では、もうじき予鈴も鳴ると思いますので皆さんは今の所をノートに取って終了としましょうか。お弁当が待ち遠しくて伏せている人もここだけは書いておいて下さいね。」
「あ!もしかして沙希もお腹減ってたから調子悪かったのかも!?」
「「「はははっ!」」」
うぅ……触れないでよ……。
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