彼女の困惑

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「いやいや沙希さん、さっきの授業では見事にスーパー美少女っぷりを見せてくれたねー。」 「美奈……あたしすっごく恥ずかしかったんだから……。」 授業が終わってすぐ、さっきあたしをからかった友達――美奈が話し掛けてきた。 美奈は軽そうな感じの性格とか、サイドテールの髪型だとか、あたしと似てる所が多いからか気が合い、莉奈の次に仲がいい。 「ごめんごめん。ま、沙希は黙ってたって目立つんだからあんまり変わんないって。」 「そーじゃなくってさー……」 なんかあたしが嫌な娘っぽくなっちゃったし…… 「大丈夫大丈夫。沙希の人望は半端ないんだからね。」 「うー……。でもだからってさっきのは――」 「あの……沙希?」 あたしが美奈に文句を言おうとした瞬間、莉奈が声をかけてきた。 「あっ、莉奈。ごめん、もう行くからちょっと待って。」 「いや、焦らなくていいよ。あたしは先に行ってるから。」 それだけ言って莉奈は教室を出て行ってしまった。 ………。 「………ねえ、沙希。なんで北原さんとわざわざ関わるの?」 突然、美奈が真剣な表情に変わった。 「えっ……?なんでって、そんなの友達だから……。」 「友達の好きな男を奪うような奴が友達だっていうの?」 …………。 「ここ最近の沙希の様子がおかしいのは全部そのせいでしょ?なんでまだあんな娘と関わろうだなんて……。」 「……それを除けば、あたしが一番話が合うのが莉奈だから……かな。」 「一番大事なことを除けるの?」 「…………。」 確かに、最近は莉奈とまともに顔を合わせるのは辛い。 でもそんな理由で莉奈を…… 「あのさ、沙希が根っからの優しい娘なのは分かるよ。でもさ、今回のは北原さんが沙希に喧嘩を売ってるとしか思えないでしょ。」 「………」 「今まで男子と付き合っても一週間でバッサリだったのに、今回はもう……三週間だよ?」 …………。
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