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ガチャッ……
「ごめんねー、遅くなっちゃいました!」
程なくして屋上へ到着。
既に三人はお弁当を食べ始めていた。
「えっと……さ、沙希。結構遅かったじゃん。」
「う、うん。ちょっと美奈と話しててねー。」
すぐに反応した雄太の手には、少しお洒落な黒い弁当箱が乗っていた。
「それよりもさ、今日も莉奈の手作り弁当?いやー、愛されてますね~。」
「ま……まあね。」
二人がデートをした次の月曜から、あの莉奈が雄太に弁当を作るようになった。
莉奈が人の……それも男子の為にここまでのことをやるだなんて、正直今でも信じられない。
「あたしが睡眠時間を30分削って作ってあげてるんだから、しっかり美味しそうに食べてよ?」
「うん。でも30分でこれだけのものが出来るなんて凄いよ。北原さんって本当に料理上手だよね。」
「まあね。あたしが本気だしたらこんなの朝飯前ってことかな。」
雄太に褒められて莉奈が得意げな顔になる。
「あ、もしかして今のって朝飯前に弁当を作るって言うギャグ?」
「ちっ、違うから!あたしはそんな馬鹿なこと言わないからね!大体あたしが……」
莉奈が否定しようと必死に弁解を始めた。
「……お前達、本当に仲いいな。」
連が呆れたように二人を見た。
「…………。」
……連の言う通り、二人は本当に仲がいい。
あたしは莉奈のあんな表情は見たことがない。
雄太だからこそ、莉奈のあんな一面も引き出せたってことなのかな。
少なくとも、これは莉奈が今までにやっていた『付き合い』とは全く違う。
莉奈……雄太のこと……本気なの……?
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