2141人が本棚に入れています
本棚に追加
｢ほら、言えよ雄太。｣
｢いや、その……｣
雄太は大分言いにくそうな表情をしている。
やっぱりそういうことなのかな……。
｢成宮。雄太が嫌がってるんだからやめてくれない?｣
困っている雄太に莉奈が救いの手を差し延べた。
連には気を許していないのもあってか、莉奈の表情は結構キツい。
｢あそこまで言ったら気になるだろ。それとも何か?言えないようなことでもしたのか?｣
対する連は、そんな莉奈の表情を一切気にせずに反撃に移った。
｢別にそんなことしてないから。ただ、雄太はウブだから言いにくいのかもね。｣
ウブだから……?
｢じゃあ北原が教えてくれよ。それなら大丈夫だろ?｣
｢まあ、構わないけど。｣
｢ちょっ……北原さん!｣
異常な程に雄太が慌てる。
この慌てよう……凄く理由が気になるけど……でも知りたくない気もする。
耳を塞ごうか……いや、でも……
｢……ただ、あたしがからかって田中に抱き着こうとしただけだから。｣
えっ……?
いや、でも……
｢なんだ、未遂ってことか。｣
抱き着こうとした、ってことは、つまり抱き着いてはいないってことだよね?
｢まあね。田中のリアクションが既に十分面白かったからそこでやめたの。｣
なんだ……よかった……。
｢そ、そうなんだよね!あれは俺もびっくりしてさ!｣
……?
妙に雄太が慌てているような……。
｢でもさ、田中。それよりもキスしたときの方がリアクション凄かったよね。｣
………えっ?
最初のコメントを投稿しよう！