彼女の困惑

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「………。」 「………。」 今、屋上にいるのはあたしと雄太だけ。 莉奈は少し前に、メールを読んでから『用事がある』と言ってどこかへ行ってしまった。 「………。」 それからあたしたちは何も話さずに黙り込んでいた。 今までに二人っきりなんて何度もあったけど……今回のそれはいつもとは違う。 普段は雄太との沈黙を苦痛に思うことなんて無いのに、今は凄く辛い。 だからといって何かを話そうとしても、普段はどんなくだらない話でも盛り上がるのに今は出来ない気がする。 でも、だからと言ってこれ以上の沈黙は無理だ。 気のせいならいいけど……この沈黙を続けるのは多分駄目だ。 なんでもいい、なんでもいいから話さないと……。 「えっと……雄太?」 「え?あ……はい!」 「いやー、まさか雄太が莉奈と大人の階段上っちゃうとはあたし驚いたよ、うん。おめでと!もう雄太はアダルトだねっ!」 「あ……ま、まあね!っていうかアダルトって表現はちょって違くない!?……うん。」 「そ、そう?」 「う、うん。」 「………。」 「………。」 ……違う。こうじゃない。 何かが違う。 あたしと雄太の間に無かった何かがあるような……あったものが無くなってしまったような……。 分からない。 あー…… …………。
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