彼女の困惑

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「えっと、お待たせ……。」 あたしは急いで支度を終えて席を立った。 「よし、じゃあ帰るか。」 「う、うん。」 意外……意外過ぎる。 連がわざわざあたしを迎えに来るなんて。 まさか連が気を利かせて二人っきりに……いやいや、連がそんな面白そうな状況で自分から引くだなんてありえない。 連の中ではデリカシーより面白さの方が優先順位は遥かに高いのに…… 「なんだ、意外って感じの顔だな。」 連が少しからかうように聞いてくる。 どうもあたしの表情から気付いたらしい。 「そりゃそうでしょ。だって連が二人に気を利かせるなんて……」 「いや、北原が目で消えろってずっと念じてきたからな。」 「……なるほど。」 一応いづらさは感じるんだ……。 「それに、今日は沙希に話したいことがあったからな。そのまま居続けて北原を不機嫌にさせるのも悪く無かったけどそれは諦めたってとこだな。」 そう言うと、連の表情が突然真面目になった。 「……あたしに話したいこと?」 「ああ。大事な話があってな。」 あたし個人に真面目な話? 珍しいなぁ…… 「とりあえず、沙希にとって大事な話だ。他の奴に聞かせるような内容でも無いし……そうだな、話すのは沙希の家でいいか?」 「んー、まあいいけど……そんなに聞かれたくない話なの?」 そこまでして警戒しなくてもいいんじゃ……。 「まあ、雄太に関係する話だからな。沙希がいいならいいけど、ここじゃ嫌だろうと思ったんだよ。」 「……!?」 雄太の……? 「あ、今回は沙希をいじる訳じゃなくて本当に真面目な話だからな。聞く聞かないは自由だけど……どうする?」 …………。 「……聞く。」
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