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「……田中、これはチャンスだよ。」
場所は変わってドーナツ屋。
何やら作戦会議とのことで、放課後に二人で寄ることに。
「お泊り会なら一日中沙希と一緒にいれるからね、上手くやればもしかしたらもあるかも。」
そう言いながら北原さんがドーナツを食べる。
奢れって言われるかと思ったけど、意外にも自腹で買ってくれて一安心。
「でもさ、具体的に何を上手くやればいいかが問題じゃない?俺、特に何をすればいいかっていうのがよくわかんないんだよね……。」
好感度アップに繋がること……うーん……。
「まあ、何もしなくていいんじゃない?」
「えっ?」
「あたしが上手いこと成宮とどっかに行っちゃうからさ、二人っきりで喋ってれば大丈夫。下手なことさえしなければそれが一番効果あるだろうし。」
それだけ……?
でも、北原さんが言うんだったらきっと正しいんだろうなぁ……。
「ただ、念を押すけどくれぐれも下手なことはしないように。田中の場合は何も意識しないくらいが丁度いいから。」
「難しいけど頑張ります。」
要するにいつも通りってことだよね。
でもいざいつも通りをやれって言われると難しいんだよね……。
「ほら、だからいつもみたいに無駄にうるさいリアクションとかそんなことをやればいいってこと。簡単でしょ?」
「………。」
なるほど、北原さんの中の俺の印象ってそんな感じなんですね。
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