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「それよりも着替えと歯ブラシは忘れないようにね。最悪着替えはお兄ちゃんのでもいいけど、歯ブラシはさすがに忘れたら自分で買ってもらうから。」
「あ、はい。」
なんともおおざっぱな作戦会議だったなぁ……。
……あ、っていうか今……
「……ねえ、北原さん。」
「ん?」
「お兄さんって……怖い人なの?」
俺の中では生死に関わる大問題、北原さんのお兄さん。
プロレスラー体型だったら俺、確実に死ぬ。
「……ああ、そういうことね。別に怖くないけど?むしろ凄く優しいくらい。」
「ほ、本当に!?」
なんだ、ビビって損した……。
「あ、でも……」
「……でも?」
なんか嫌な予感が……
「中学生の時に一人で同級生6人を無傷で倒したって伝説はあるよ。」
………6人?
無傷で?
「ええええええっ!?」
ヤバいヤバい!
それ完全にヤバイ人じゃん!
「あと、確かこの間ガラの悪そうな大学生3人組に絡まれて返り討ちにしたって言ってたっけ。」
「ええええぇぇぇええええええっ!?」
ちょっ……これは俺完全に死んじゃう!
「しかもお兄ちゃんってあたしのこと大事に想ってるから、田中が不純な動機で告白したって知ったらもしかしたら……」
……ヤバい。
なんかもう遺書書きたい。
「……何か怒りを沈める方法はないでしょうか。」
「んー、お兄ちゃんってドーナツが大好物だから、あたしがお土産に買おうと思ってるんだけど……」
「そのお金払わせてください!」
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