第三章 紀伊征伐

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和歌山城攻撃隊が和歌山城近くに付き。 信長が攻撃命令を下した。 大手門攻撃隊、先備えの掘政秀三千。 二番備え 蒲生氏郷 二千がともに攻め掛かった。 小高い丘の上に、信長は、兵三万とともに陣を構えた。 搦手門には、明智光秀の七千が襲い掛かかった。 本陣の背後はがら空きであったが、信長は気にもかけなかった。 多勢に無勢で恐れるに足らぬと考えていたからだ。 城からも佐大夫の指揮のもと、鉄砲・弓矢で応戦した。 「大殿、新宮城の忠信殿より、使者が参っています」 「通せ」 「はっ」 側近が使者を通した。 「佐大夫様、何卒お人払いをお願い致します」 「皆下がれ」 「はっ」 「新宮城の戦いに忠信様は大勝利をおさめ、只今は織田将々を先陣にして伊勢・志摩攻略に向かってます」 「誠か!?」 「御意」 「和歌山城に増援部隊五千を海路より送ってあります」 「信長は、まだ知らぬのか?」 「御意、知られるのも、時間の問題かと」 「下がって良いぞ」 「はっ」 霧のように姿を消した。 (重秀が奇襲をしたのと同時に、大手門より打って出るか。明智勢は、増援部隊で手一杯のはずだし) 佐大夫は、頭の中で考えていた。 静かに丘を登れ、気づかれるでないぞ。 雑賀孫一率いる、精鋭部隊三千が信長が本陣を置く、丘を静かに登り始めた。 中腹まで来たところで孫一は、突撃の合図を出した。 「掛かれ~!!目指すは、信長の首一つよそ目をくれるな。恩賞は望みのままぞ」 「お~お!!」 孫一の軍勢より歓声が上がった。 織田本陣に一騎の伝令が全身が血まみれ状態で現れた。 「申し上げます、敵襲に...」 ゴハと血を吐き出し、バタと伝令は生き絶えた。 側にいた、蘭丸に太刀と火繩銃を用意させ。 「鉄砲・弓隊前に出よ」 「槍襖を作り、本陣を守るのだ」 信長が指示を出す。 前方より三千の兵が鉄砲・弓矢を手に三万の本隊に奇襲攻撃を仕掛けて来た。 またたくまに、織田本陣近くまで攻め込まれた。 孫一は、背後より信長に標準を合わせると、引き金を引いた。 ダン、ダン、ダン。 孫一は、忠信より連発銃を一丁だけ借りていた。 一度に三発放った銃弾は、信長の肝臓・両足に命中していた。 銃声音の後、信長の側近が周囲を固めた。
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