第一章 決闘

1/1
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

第一章 決闘

「兄貴、コイツの面が何か、気にいらねぇ」 ボコ、ドス。 バタと少年は、倒れた。 「弱いな、掛かって来いや」 「おのれ、良くも忠信を!!」 昌幸は、抜刀しようとする。 孫一は、何も言わずにただ見ていた。 忠信が使える人物か試している方が正しかった。 忠信は、立ち上がり、すぐそばに落ちていた、木刀を取って構えた。 一方、相手は、真剣を構えていた。 孫一の合図で、決闘が始まった。 始めは、忠信が押されていた。 忠信の木刀と男の真剣がぶつかり合い、木刀が真っ二つに割れ、忠信は尻餅をついた。 「これまでだな、さらばだ」 男が真剣を振り上げたところ、見計らい、忠信は砂を男の目にかけ、立ち上がった。 男は砂が目に入り、開ることが出来ずにいる間に、忠信は真っ二つに折れた、木刀を男の首に当てていた。 「勝負あり、勝者は忠信!!」 男は、がっくりと肩を落とした。 「良くやった」 孫一が忠信を褒め讃えた。 三番手の男が新米に負けた事により、忠信が孫一の三番手になった。 二番手は、岡左内と言う剛勇であった。 その日は、新たな仲間の歓迎が盛大に行われ、酒や肉などを食べたりして、盛り上がった。 孫一より、鉄砲の師事を受け、武芸は岡左内に習った。 兵法は、お供として、ついて来ている。昌幸に習った。 月日は流れ、天正4年(1576)1月10日。 鈴木家の主な重臣一同が、和歌山城に集まった。 「遠路遥々大儀であった」 まずは、鈴木佐大夫が重臣一同に労いの言葉をかけた。 「織田信長が近い内に、紀伊征伐を行うとの噂がたっておる」 「忠信、そちに新宮城と周辺含め、十五万石を与える」 「良いのですか?某ごときに!?」 「そちの才能は、ずば抜けておる。対織田戦の為に期待しているぞ」 「ははっ」 「鈴木重兼、そちは、九度山近くの大和との境の橋本城を五千の兵で守ってくれ」 「はっ、必ずや父上の期待に添えますように致します」 「鈴木重秀、雑賀・根来衆の精鋭五千を率いて、織田軍が攻めて来た場合は、迎え撃てよいな!?」 「ははっ」 「儂は、一万の兵にて、和歌山城に篭る。いざという時には、後詰めを送るように致す」 「良いな!?」 「ははっ」 重臣一同が、低頭し、城を後にした。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!