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橘圭介つまり俺は良く言えば冷静、悪く言えば冷めた男である。
例え暴漢に襲われようが大地震が起ころうが、起こりうるあらゆる状況に落ち着いて対処する自信がある、いやあった。
だがこの行為は俺が知る常識から大きく逸脱している。
それは俺の首筋に穿たれた鋭利な物体であり、そこから流れ出る液体であり、それを啜る少女である。
日常から掛け離れた行為。
異常異常異常――まさしく異常だ。
朦朧とする頭の中でピースを繋げていく。
行き着く可能性は当然1つだ。
「……ふふ、ごちそうさま。」
体の中で鳴っていた音が止む。視界が霞み、どこまでも落ちる。
薄れゆく意識の中、少女の横顔が見えた。
つまり、こいつは――――
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