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カラッと晴れた青い空。
長年住んだこの町を、今日出る。
空も今日を祝福してくれているようだ。
駅のホームには、いつも一緒に馬鹿やった仲間たち。
問題児だった僕を、一人前に育ててくれた伯父や伯母。
みんな笑顔で送り出してくれる。
その笑顔が、僕が居なくなるからという黒い笑顔ではないことを、信じたい。
こんなに多くの人が送り出してくれるけど、一番会いたい君の姿が見当たらない。
伯母に聞くと、今日は朝から見てないらしい。
別れが悲しいのかねぇ、とぼやいていた。
仲間たちには、愛想尽かされたんじゃねぇの、とからかわれた。
僕はそれでもいいと思っている。
強がりじゃない。
ただ、君に涙を見せたくないし、君の涙を見たくはない。
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