輪舞-ロンド-

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やがて長の家に、この森のエルフ達のリーダーや、アルフ達が集まってきた。ティムとパウアの2人は、遅めの夕食をとった。 いつもならティムは自分の家に戻るのだが、今日は長の言いつけ通りパウアと待っていた。 2人とも、話すともなく、座ったり横になったり、落ち着かなかった。 やがて、夜半すぎにようやく、ざわざわとエルフ達が帰って行く気配がした。程なく、風の精霊がふわりと現れ、2人に長の元へ来るよう、伝えた。 2人はどちらともなく頷くと、頂上の長の部屋へと向かった。 「長、参りました」 ティムが先に部屋に入ると、中には長と、トュリートの父親のアルフがいた。 「セイレ様…」 長の次に長生きしているアルフのセイレは、ただ悲しげな表情をして、2人を見ていた。 「よく、来ましたね。2人に長から大切な話があります。心して聞きなさい」 「……」2人は長の言葉を待った。 "天と地をつなぐもの 母なる大地を守るもの 光の風を紡ぐもの 約束の時に 全てのいのちを守りたまえ 解放(ラルウ)の力持て 巡る水は滞ることあたわず 魔を退けり その力もて 災厄を消し去らん" "…この詩が何かわかるかね?" 浪々と詩を歌い上げた後、長は2人に問うた。 「…巫女の詩…ですね」 パウアはぽそっと呟く。 ティムは黙っている。 「古くからアルフに伝わる創世の詩…です」
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