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「クシュン」
胸元で小さなくしゃみが聴こえた。
「とりあえず家に来る?寒いし」
そういう事で今は家へ向かっている。そして背中には先ほどの少女を背負っている。いざ家へ向かおうとしたときに少女が靴をはいていないことに気がついた結果今にいたる。
「もうすぐで着くから」
「スー、スー……」
泣き疲れて寝てしまったようだ、今の問題について考えることにした、人の願いを考えるという漠然とした問題。
少女には手伝うと言ったものの俺は人助けをしたことなんてなく逆に人付き合いが苦手だ。
どうしたものかと考えていると家に着いた。
鍵を開け家に入った。
「ん、んん……」
「あ、起きたか?」
「あ、す、すみません」
「いや重くなかったから、むしろ体重いくつなの?ってぐらい」
「む~、女性に体重の話はタブーです」
ちょっとムッとして言った。
「ごめん、ごめん、そういえば、人の願いを叶えるって具体的にどういうことを?」
「あ、まだ説明していませんでしたね」
背中に手を回し先ほどの本を取り出した。すると、本が光を放ち始め最初のページが開かれた。
そこには少女の写真と願いの内容、そして、感謝の気持ちが書かれていた。
「ん?感謝の気持ち?」
「だ、駄目です!」
バンッと勢い良く本を閉じられた。そしてまた別のページを開いた。
「え、え~っとですね~、願いを叶えると先ほどのようにページに願いの内容と感謝の気持ち即ち心の言葉が記入されていくわけでそれでこの本をうめるのです」
「で、何が書いてあったの?」
「い、今はまだ駄目です」
顔を真っ赤にして少女が言うので取り合えず「おめでとう……え~っと」
少女の頭を撫でながら考え込んでしまった。その間少女は気持ちよさそうに眼を細めていた。
「名前は?」
「ないです、私たちは基本名前では呼び合わないので、気になりません」
「駄目、俺が気にするから、つけても大丈夫?」
「はい!」
「じゃあ、犬っぽいから犬で……って言うのは冗談で」
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