1人が本棚に入れています
本棚に追加
時が廻るのは早く、そして運命もまた動き出したらとまらない。
「明日が別れの日か……」
この一年間、沢山の人を助けてきた、時には危険な目にもあった。だけどいつも命がいて、笑顔で俺の隣にいてくれた。最近命の顔には本物の笑顔が無い気がしていた。そしてそれは別れを意味していると俺は理解した。出会いがあれば別れがあるそんな事は当たり前なのに、気づいていたのに
「なぜこんなに悲しいんだ……」
ソファーに座って考えてると。
「おはようございます、廻さん」
「おはよう、命」
今の命には幼さはほとんど無く、美しいという言葉が当てはまるようになっていた。本のページが300に達した時に天界から力を与えられたと命は言っていた、そして今の姿が本当の姿らしい。
「そんなに見られると恥ずかしいです」
「あぁ、悪い」
考え事をしながら、命の事をずっと見ていたようだ。
「とうとう来るんだな」
「はい」
笑顔だけど笑っていない、そんな姿を見ているのが辛い、言おう、明日俺の気持ちを……
「じゃあ、今日はどうする?ページは俺のページだけだろ?久しぶりに商店街に行くか?俺たちが始めてあった」
目頭が熱くなるのを感じ少し早口になってしまった。
「今日は家にいたいです、廻さんと一緒にいたいです」
静かに身を預けるようにもたれ掛かってきた。俺は涙を零してしまった。そんな顔を見せないように命を抱き寄せた
「廻さん?」
「悪い、少しこのままでいさせて」
目を開けると俺にもたれかかる様にして命が眠っていた、時計を確認すると思わず目を疑った。
丸一日眠っていたようだ、隣にいる命を揺すって起こした。
「命」
「廻さん、あれ?寝てしまったようですね」
「今日俺の願いを叶えれば本が埋まるんだな、早くやろうか」
なぜか知らないが俺は、今焦っているしイライラもしている。命を見るとやはり悲しい顔をしていた。
「じゃあ、この願いを叶えたら……お別れで「俺はお前とずっと一緒にいたい」
「え?」
驚いたような顔をして俺の方を見ていた命に
「命は帰りたいのかもしれないけど俺は「私は帰りたくなんて無いです!うれしいです!わ、私はずっとこの日を待っていました、もしかしたら断られると想いそのときを想像して泣いていたときもあります、ですから、私から言わせてください」
『私をずっとそばにおいて下さい』
そして、ミコトは俺の唇に、自分の唇を重ねた。
最初のコメントを投稿しよう!