記念日

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 3月3日、この日がなんの日なのか忘れたことはない。  結婚記念日だ。  夫婦にとって、もっとも大事な日であろうこの日、私は、夕暮れに染まる、というよりは月明かりに照らされた、と言ったほうが近いような道を急いでいた。  仕方なかったんだ。  この日に限って、上司に面倒ごとを押し付けられてしまったのだから。  走りながら愚痴という名の言い訳をつぶやく余裕があるのは、左手にもった『コレ』のせいだろうか。
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