甘い口づけ

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ある日、久秀が自分の部屋で書物を読んでいると政宗が訪ねてきた。別に珍しい事でもなかったが政宗の表情がやけにニヤニヤしているのがひっかかる 「松永、もうすぐvalentindayなんだが…小十郎に何かPresentしないのか?」 「………」 いきなり部屋にやってきてはわけのわからない単語を並べる政宗に久秀は押し黙ってしまう。 「だーかーらー、valentindayだよ。知らねぇのか?」 「…南蛮の祭か何かかね?」 「yes!好きな相手に贈物をする日だ!」 「それと私に何の関係があるのかね?」 「お前小十郎と恋仲だろ?何かしねぇのかなぁと思って」 そう、小十郎と久秀は恋仲だった。刀を狙ってちょっかいを出したはいいが後に捕まり捕虜になり奥州で過ごすハメになった。そこまではいいのだが、何がどうころんでか久秀と小十郎はいつのまにか恋仲までいっていたのだ。 「それは…絶対にやらなければならないものなのかね?」 「絶対ってわけじゃねぇけど…やったら小十郎は凄い喜ぶと思うぜ?」 小十郎が喜ぶと言われればやってみようか、と久秀は考えたが、いかんせん小十郎が欲しい物など一つも思い浮かばない 「右目が欲しがるモノ……」 久秀が真剣に悩んでいる様を見て政宗が部屋に入ってきた時と同じニヤニヤとした笑みを浮かべる。その後表情をすぐいつもの顔に戻す。 「そうそう、valentindayの贈物ってな決まりがあるんだぜ?」 「決まり?」 「渡し方とか渡す物とかな」 「…それはどういったものなのかね?」 「渡すのはChocolateってゆう南蛮の菓子だ。まぁ、そっちは俺が用意してやるよ」 「では渡し方というのは?」 「それはな……」 政宗から告げられた"渡し方"に久秀の顔がみるみる真っ赤になってゆく。 「そ、そんなこと出来るわけ……」 「せっかく小十郎が楽しみにしてんのに?」 「ぅ……」 「ま、やるかやらないかはお前次第だ。Chocolateは当日届けてやるからそれまでに考えておけよ?」 そう言ってヒラヒラ手を振りながら部屋を出ていく政宗。一人残された久秀はそれから一日中悶々としながら過ごした。
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