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もう忘れてしまったが、チャイムを押したんだと思う。 大きな家の立派な玄関に立って 息を吸い込み、大きな声で中に声をかけた。 『ごめんくださーい!』 パッと電灯が点き、中から上品な小母さんが、ぱたぱたとスリッパを鳴らして、出てきた。 『あら、こんばんは。お姉ちゃん1人で来たの?よく来られたね。偉いね。』 小母さんは、笑顔を作りながら、膝をついた。 『ちょっと待ってね。○○くん、お姉ちゃん来てくれたよ。』 そう言いながら、踵を返しまた、家の中へ入って行った。 一息ついて見回すと、高価そうな置物や衝立てが並んでいて、圧倒された。 そして、奥から何かを引き摺るような音がして、小母さんに抱えられるような格好で、弟が現れた。
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