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足には、包帯を巻かれ、怒ったような、困ったような顔をして弟は無言だった。
私も声をかけた記憶は無い。
『さて…。どうしようかねぇ…。応急措置は済ませたから、救急車を呼ぶまでもないと思ったんだけど…』
小母さんが、困ったという顔をしてみせた。
(このままお世話になる訳にはいかない。)
そう思った私は、弟に背を向けて屈んだ。
『お姉ちゃん…大丈夫?』
小母さんが、問う。
弟とは、3歳歳が離れていたが、私はとても小柄で、学年でも身長は前の方をキープしていた。
弟も、小柄であったが当時はあまり身長差も感じなかった。
自宅と、このお世話になったお家との間に、父の勤め先である総合病院が在ったので、そこまで運ぼう。と思ってのことだった。
『やっぱり、救急車を呼ぼうかしらね?』
と言う、小母さんにお礼と断りを告げて、私は弟を背負った。
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