9/11

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
息はあがり、目には涙が浮かんでいた。 弟には心配させたくないのだけれど、言葉も出ない。 時折、道に転がる小石に足を取られそうになりながらも…火事場の馬鹿力…の様な力が、辛うじて、私と弟を支えていた。 病院が近付く。 あと少し。 あと少し。 思考は完全に停止していたが、弟を運ぶという使命だけが私の中に大きく存在していた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加