家賃滞納4ヶ月にして

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 いつもの精神科の帰り道、ふと思った。 「…今、どれくらい家賃滞納してんだっけ…」  幸いというか、大家さんがおおらかな方で、今までも遅延や滞納を苦笑しながらも許してくれていた。  そして、家賃を払いにいくたびに、病気を盾に言い訳三昧していた。  自分の部屋に帰るなり、即、領収証を見た私。  …Σ5月分までしか払ってない!!!  本来の契約内容だと、9月分…つまり、4ヶ月も滞納しているわけで…!!!  次の給料日は26日、あーでもそんなの関係ない!とりあえず、現状説明と謝罪だ!  そして、最上階にすむ大家さんのインターホンを押した。既に頭は立位体前屈状態で待機。 「…あの…家賃のことでご相談が…今、大分溜めているので…せめて支払いの意思だけでも…」 「……栗原さんの事情はわかってるから、あまり強くうちは言えないんだよね…」 「でも、流石にそろそろ…」 「…(苦笑)うん、普通の人ならね…でも、病気なんでしょう?」  結局、ただひたすら謝り、年内に滞納分は払うことを約束した。  頑張ってね、といいドアを閉める大家さんの背中を見て…自分の情けなさやだらしなさ、怠惰さにとことん嫌気がさした。  もうこんな駄目女でいたくない! 気付くの遅すぎですね。 いかに甘やかされて、人様の善意を当たり前に消費していた。 まともな人間になろう。  腹の底からそう誓った。
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