そもそもの顛末

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そもそもの顛末

 5年前、念願の独り暮らしを始めた。  理由は色々あるけれど、母の再婚相手と顔を合わせるのが気まずい、というより嫌だったこと。  子供の頃からずっと住んでいた場所に、徐々にはいりこんでくる「その人」が嫌だった。  今は絶縁している父親とは違い、殴ったり蹴ったり、性的な眼でみられることもない。 お互いに大人だし。 …でも、当然のように、夕食の席に付き、ビールを飲む「おじさん」といるのが、正直苦痛だった。 それに加えて「世間一般の、自立している女」への憧れがあった。 実際は自立どころか自律神経失調症になってしまったけど。 場所はどこでも良くて、そこそこの美観と、ネットが快適に使えればいいです、と、今思えば「バカか貴様は」ですな。 結局、家賃6~7万、会社からそこそこ近い、で4件ほど絞り、3件目に見た家賃7万の部屋に一目惚れ。 もう早く早く早く!状態で、これからは自由だ!そして自立だ!とばかりに、即入居。 敷金礼金他、家具や引っ越し費用で60万くらいかかりましたが、自立したオンナの薔薇色の人生が待っていると信じてた私には、その重みは分かりませんでした。 これから体も心も、財布も苦しむことになるとも知らないで。
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