第一章

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「あ~っ! やっぱりトキメキが無いよぉ~!」 授業終わりの廊下で、 少女が嘆いている。 少女と呼んで良いのだろうか 彼女は今年、二十歳になった。 華の十代が終わってしまい、謎の焦燥感を抱いているようだ。 結城 晴 ゆうき せい そんな彼女の名前だ。 「またそんな事言ってるー。 ハレちゃん、どんだけトキメキたいの?」 ハレ。 晴は友達には、セイでは無くハレと呼ばれている。 「だって~、 気になる男が全然いなかったからさ~。 むしろ、友達とも離れちゃったし、 授業頑張ろって感じだね~」 晴はリュックを背負い直し外に出ると、 肌寒くなってきた風を一気に吸い込んだ。 あぁ、二年目の秋も、何も無く過ぎていくのかー。 と思った。
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