第一章

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晴は、この大学に入って二年目の秋を迎えようとしている。 男子生徒の人数が女子生徒の人数より多い学部にも関わらず、 要するに、 周りに男が沢山いるにも関わらず、 晴は男子と関わりが無かった。 サークルには所属している。 テニスサークルだ。 テニスサークルと聞くと、 おっ、華やかじゃん などと思うかもしれないが、 晴の通う大学のテニスサークルは、実に地味だった。 晴の通っているキャンパスには、一つの学部しか存在していないので生徒数が少ない上に、 田舎である為だ。 法学部とか、工学部とかと一緒のキャンパスが良かった。 晴は心底そう思っている。 なんせ小さいキャンパスなので、人間関係も狭い。 同じサークルの女子達とは上手くいっていない。 実に面倒だ。 成績は、中の中くらい。 特別出来る訳でも無いが、 落ちこぼれている訳でも無い。 単位が取れれば良いか、 と、半ば全力を出していない感が見受けられる。 そんな、どこにでも居そうな、大学生であった。
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