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あれ、起きてる子供がいた。
やっと見つけた。
けものは、ドアと壁のすきまをすりぬけて、そっとその家に入っていきました。
目指すお布団はあれだ。
さあ、俺のさみしい気持ちをうんと注いでやる。
けものは、冷たい毛皮のままするりとお布団に入りました。
そして、思い切りさみしさを暖かく小さな子供の体に移しました。
さあ、泣け。
わんわん泣け。
そうすりゃ、親がとんでくる。
抱き上げてちやほやするだろ。
そうすりゃ、俺はバカヤローて悪態ついて、逃げるのさ。
さあ、さあ。
けものは、待ちかまえています。
一分、二分、部屋は静かなまま。
けものは、おかしいなと思いそっと隣を見ました。
とにかく、さみしかったので、よく見もせず飛び込んだんですものね。
隣にいるのは、大人の女の人でした。
暗い中で、けものは女の人と目が会いました。
けものは、困ってしまいました。
わーんと泣いてくれなければ、けものもひっこみがつかないのです。
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