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けものは、女の人に毛皮を触らせました。
細い手が、体中をそっとなぞっていきます。
「ぐずりさん、あなたの毛皮は厚くて茶色で立派ね。」
けものは、自分の毛皮が立派なことを知りました。
「ぐずりさん、あなたのしっぽは、ふさふさね。」
けものは、自分のしっぽがふさふさなことを知りました。
「ぐずりさん、あなたは他のぐずりに会ったことあるの?」
「いいや、俺はひとりだよ。」
けものは、自分がぐずりだと思いました。
「ではね、ぐずりさん、あなたの住む山から見える、遠くの山に、別のぐずりがいないかしら。」
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