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それからはずっと隠れて勉強漬けの毎日を送る。
“タカマガハラ”の高校に入学しようとしていることを知られたら、義母親(ははおや)は喜び、期待を持ち、さらに依存されると考えたからだ。
――そして、試験に何とか合格して家から逃げることができた、と……。
「なんともまぁ、親不孝な話だ」と他人事のように呟く。
――……親元を離れれば両親の大切さが身に染みて分かると言うが。
柊一の場合、大切さなんて全く感じていなかった。
洗濯や食事の用意をしてくれるか自分で用意するか。
そんな違いしかなかった。
「……ほんと、類を見ない親不孝者だよな。俺って……」
自嘲気味に笑いながら呟き、柊一は電気も付けたまま目を閉じ、眠りに落ちた。
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