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「いつそんなことを言ったんだ?」
「朝のHRに先生が言っていたはずだ……」
もちろん、寝ていた柊一である。
「なんかあるのか?」
「明日は四校と附属の学校、すべての最上級学生が中央に集まって、いよいよ“魔法遣い”になるためのカリキュラムが始まるんだ。
……これは結構前から言っていたはず」
そんなことを覚えている柊一ではない。
「学校が終わりなら私も研究職へ戻るか」
携帯灰皿を白衣のポケットに戻し、里香はカツカツという足音を立て扉へと向かう。
「じゃあね、また明日」
軽く手を振って里香は扉の中に入って行った。
「シュウ、僕たちも昼飯に行こうか」
「そうだな……」
――結局、重要な部分が聞けなかった……。
一つ溜息をつきながら柊一は正也の後を追い、昼食へと向かった。
◇ ◆ ◇ ◆
柊一と正也は昼食の後、数人の友人と合流して街へと繰り出した。
そのまま夕食まで済ませると、二人は寮へと戻った。
寮と言っても一部屋に二段ベットと机が二つあるような部屋ではない。
一つのマンションの一部屋を二人で使っている。
そのため、リビングや台所などもあり、一人一部屋あってもまだ部屋が余るほどだ。
「はぁ……」
風呂上がりの柊一は髪を乾かさず雑に拭いただけで、ベッドへと飛び込んだ。
仰向けに寝転がり、真っ白な天井を眺める。
――“死ぬこと”ってどういうことだよ……。
数時間前に話した里香の言葉を思い起こす。
どういうことなのか? と、考えても答えが出るわけではないのだが、どうしても気になってしまう。
――“明らかになっていなかった”それは魔力のことだけではなく“門”についても明らかになった……。
そういうことなんじゃないのか?
そうすると、魔法遣いになるにはやはり“門”が関係するのかもしれない。
柊一はそう考えた。
――……俺なんかが魔法遣いなってもいいのだろうか?
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