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緑生い茂る中に続く、見ているだけでやる気を根こ削ぎもっていかれるような階段のそのまた向こうに、その都市伝説は存在した。
「…強い願いは必ず叶うか。」
そして、そんなやる気削ぎの階段を、この僕、相沢翔留(クラスに必ず一人はいるであろう、影の薄い根暗男)は、ない体力を振り絞り、一つ一つの石段を踏み締めながら歩いていた。
体力つけとけばよかったと今になって思う。
正直今すぐ昇るのを諦めたい。
しかし、僕は今どんなにきつくても少しでも希望があるなら昇らなければならなかった。
「これで伝説がただの噂だったら、本当に絶望して、死んじまうかもな。」
僕は長い独り言を息をゼェハァさせならがら一人で言った。
独り言はもちろん、周りに人がいないから独り言なのだけど。
返事が無いのが堪らなく虚しく、あいつの存在がどれだけ大きかったのかを今更ながらに思い知らされる。
近すぎると見えなくなるんだ。
人間の目は残酷だな。
「ハァ…一人ってはこんなに寂しかったっけ?」
空に向けて一言呟いた。
「鳥西の神」
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