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「はぁあぁぁぁあ!?」
思わず叫んでしまった。
何せ、女は目の前に浮いているのだから。
「ななななんで浮いてんだ!」
僕の目の前の女が神だとしたら、僕の神のイメージとは全く違うあまりにもかけ離れている見た目だった。
「急に叫ぶでない、うるさいであろう。」
言葉遣いこそ古めかしいが、髪は銀と金の混色で、目は翡翠と赤のオッドアイ。
服は美しい着物。
顔と服はあまりにも不釣り合いなようで、この世に生きている誰よりも似合っていた。
神だと言われたら信じそうな美しさ。
ただ、そんな困惑の中に一つだけ疑問があった。
「お前、ホントに神様なのか?」
そう尋ねたのは、その辺歩いてそう。とか単純な理由でなく、もしかしたら、神様のフリしたおばけや妖怪で、願いを叶える代わりに魂でもとられるんじゃないかと思ったからだ。
「我を疑うとはいい度胸じゃの。我は神じゃ、そうじゃの…試しに、この地域だけに雨を降らしてやろうか。我ほどの最上級土地神でも、世界中には無理じゃ、だが、日本にだけなら降らせることはできよう。お主もそれで十分であろう。」
そういうと女は人差し指を空に向けた。
すると、女の足元から光が溢れだし一気に細い電流が人差し指から空に放たれる。
「うおっ!」
強風が光を中心に吹き荒れ、その風に足を掬われそうになった。
「我に捕まれ。」
女は一言短調に言うと、さっきまで快晴だった空の方を見つめ、少しづつ厚い雲でおおわれてゆく空を満足そうに見つめ、さらに雲をでかく町全体に広がらせた。
それはあまりに幻想的で夢を見ているようだった。
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