とりあえずプロローグ

3/11
前へ
/195ページ
次へ
「嵐真!!起っきってっ」 ユサッユサッユサッ 「ん~………」 この寝坊助の嵐真とは、もう10年近い付き合いになる。 親同士が仲が良かったのも1つの理由だけど、何よりも大きいのは、やっぱり家が隣同士と言うことが一番だと思っている。 ………誰もが憧れるシチュエーションだけど………特に何もない。 今まで………ちょっと前まで進展を願っていたけど……本当に何もなかった。 お互い、家族みたいな扱いだしね……。 「ん……。」 おっと夢中で揺すっていたから、嵐真が起きそう。 「スー……スー……」 「……って寝返りうっただけ……こんだけ寝てるなら…キ…キスしてもバレない……よね?……それにキスで目を覚ます人だって、い要るって言うし……」 私は、嵐真にどんどん唇を近づいていく。 あと50センチ。 (…嵐真……) あと30センチ。 (寝顔、可愛いのね………) あと20センチ。 (起きないでよ) あと10センチ。 (……。) 私はここで目をつぶり、唇を近づけていく。 あと5センチ。 (……………。) 3………… 2……「お前、なにしてんの?」 「…………え?」 目を開けると、目の前には飽きれ顔の嵐真がいた。 慌てて飛び退く私。 「…………………。」 頭を掻きながら身体を起こし私を見ている嵐真。 さっきまで何しようとしてたかバレてるかも…と心配している私。 「依吹(イブキ)、だからなにしてたんだよ?」 「べべっつに~…いつもの脅かしだよ(良かった……バレてないっ)。」 「やっぱりね……」 あきれ顔のまま呟いてベッドから立ち上がる嵐真。 「まぁご飯出来てるから早く来てね」 「あいよ。」 いつも通りに接して部屋を出ていった。 バタンッ (なななななななんでっあのタイミングで起きるのよっ!?) 階段を駆け降り。リビングで気持ちを落ち着かせる。 「………はぁ……焦った……」 ---依吹side OUT
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

778人が本棚に入れています
本棚に追加