778人が本棚に入れています
本棚に追加
「嵐真!!起っきってっ」
ユサッユサッユサッ
「ん~………」
この寝坊助の嵐真とは、もう10年近い付き合いになる。
親同士が仲が良かったのも1つの理由だけど、何よりも大きいのは、やっぱり家が隣同士と言うことが一番だと思っている。
………誰もが憧れるシチュエーションだけど………特に何もない。
今まで………ちょっと前まで進展を願っていたけど……本当に何もなかった。
お互い、家族みたいな扱いだしね……。
「ん……。」
おっと夢中で揺すっていたから、嵐真が起きそう。
「スー……スー……」
「……って寝返りうっただけ……こんだけ寝てるなら…キ…キスしてもバレない……よね?……それにキスで目を覚ます人だって、い要るって言うし……」
私は、嵐真にどんどん唇を近づいていく。
あと50センチ。
(…嵐真……)
あと30センチ。
(寝顔、可愛いのね………)
あと20センチ。
(起きないでよ)
あと10センチ。
(……。)
私はここで目をつぶり、唇を近づけていく。
あと5センチ。
(……………。)
3…………
2……「お前、なにしてんの?」
「…………え?」
目を開けると、目の前には飽きれ顔の嵐真がいた。
慌てて飛び退く私。
「…………………。」
頭を掻きながら身体を起こし私を見ている嵐真。
さっきまで何しようとしてたかバレてるかも…と心配している私。
「依吹(イブキ)、だからなにしてたんだよ?」
「べべっつに~…いつもの脅かしだよ(良かった……バレてないっ)。」
「やっぱりね……」
あきれ顔のまま呟いてベッドから立ち上がる嵐真。
「まぁご飯出来てるから早く来てね」
「あいよ。」
いつも通りに接して部屋を出ていった。
バタンッ
(なななななななんでっあのタイミングで起きるのよっ!?)
階段を駆け降り。リビングで気持ちを落ち着かせる。
「………はぁ……焦った……」
---依吹side OUT
最初のコメントを投稿しよう!