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『奴について行くのか?でも、このドアは開かないと言っていたし…』
またも、白崎は振り返りもせず、俺に話しかけた。
「さきほども申しましたが、ドアは開きません。佐伯さまには充分なおもてなしをご用意させて頂いていますからね」
選択肢はないってことなのか…
とりあえず、俺は白崎の後をついて行くことにした。
朱美と付き合って、5年経つ。
それなりに彼女に対してちゃんと彼氏らしくやってきたつもりだ。
浮気だってしたこともない…。
なんだって、こんな目に会わされるんだ…。
考えれば考えるほど、わからなくなる。
「…さま、佐伯さま?」
「え?あぁ…」
いつの間にか、白崎の案内したい場所に着いたようだ。
「こちらでございます」
顔をあげると、その先には長い廊下が続いていた。
1番手前の扉に、明かりが灯っていた。
『なんだここは…真っ暗な中で扉がたくさんあるのに、ここだけが明かりが灯っている…』
「では、佐伯さま、ごゆっくりとおくつろぎ下さいませ」
「えっ?ちょ、ちょっと待てっ…」
振り向いた先に、白崎はもう居なかった。
なんだあいつ…
というかなんだここは…。
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