始まりの日①

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**********   「おはようございますー」 「おー、みっちゃん。一週間ぶりかー?」 「そーですねー」  お盆休み開けの出勤は特に何時もと変わりなく、ナビゲーターの田崎さんがかき氷のイチゴシロップの香りを振りまきながら部屋に入って来た私に手を降ってくれた。 「田崎さん好きですね、ソレ」 「いや、まぁ、懐かしいってかそんな感じでねぇ」  一個85円のカップのかき氷で味は四種類、会社の近くのスーパーで売っていてこの時期になると休憩室の冷凍庫の半分をコレが占領してたりする。かく言う私も何度かご相伴に預かってるから、何も言えないけれど。 「それで、今日は見回りで良いんですか?確か初心者フィールドの担当日だったはずですから」 「あぁ…いや、それがねぇ……」  プラスチックのスプーンをぷらぷらさせて言葉を濁す田崎さんに、何となく嫌な予感…。 「せっかくのリフレッシュ直後で悪いけど、ペナルティの執行に行ってもらわないといけなくなってねー…」 「あー、私がって言うとPKKですかー…」 「そうなんだよねー」 「ですよねー…はぁ……」  私の勤めている会社が管理を委託されているネットゲーム、MMORPG『アルカディア ジェネシス』…そこで私はGMアカウントで活動している。  …正確には活動じゃなくてお仕事だけれど。  昨今は仮想空間内に作成したアバターに精神を投影して現実と変わらない状態でネット内でショッピングやら交流やらが出来る便利な技術が開発され、ネットゲームだって当然其方が主力になっている。  この『アルカディア ジェネシス』も勿論その技術を余す事無く取り入れたゲームになっている。
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