始まりの日①

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 …で、そんなゲーム内で運営側の生身の人間としてユーザーのサポートを行うのが私のお仕事、のはずだったんだけど…。 「悪いねぇ、ちょうどみっちゃんが休みに入ってからの事だから…」  溜め息をつく私に田崎さんが目の前のモニターに資料を出してくれた。 「でも酷いもんなんだよ、ほら、何のツール使ってるか知らないけど名前もステータスもこっちで見ても化け化けでさぁ」 「へー…うわ、酷い……」  違反者の追跡は一応できているみたいで、画面上に浅黒い肌をしたダークエルフっぽいやたら美形のアバターとそのステータスが出てるけど…名前からステータスから全部文字化けして酷い事になってる。  って言うか、そもそもこんなアバターパーツなんて用意してあったっけ?  まぁ、運営側でもどうこう出来ないような事をする違反者なんだから、オリジナルのアバターを作っててもおかしくないけれど。 「コイツがPK自粛の初心者フィールド、しかもスタート時点近くの森で入って来る初心者根こそぎPKしちゃってくれるようなワルでねぇ…もう、運営に苦情が来る来る……」 「それは流石に酷いですね……」  多少の違反者は坊や扱いでさらっと流す田崎さんがそう言うのだから、相当酷いんだろうと思う。スプーンを空のカップに戻した田崎さんの雰囲気が珍しく重い。 「んで、みっちゃんにお願いするペナルティの内容は『PKK』と『1ヶ月のアカウント停止』の措置だねー」  さらにぺらっと渡された書類には社長のサイン入りの、社内では『執行命令書』と呼ばれている書類…。 「んー、予想より軽め?」 「初犯だからねー。重犯だったら確実に永久垢停だろうね」  軽く「頼むよー」と田崎さんは言ったけど…私は久しく貧乏籤を引いた気分だった。
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