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「じゃあ準備よろしくねー」
「はーい」
隣のロッカールームで荷物を置きジャージに着替えて、今度はナビゲータールームの隣の部屋に入る。
ここは『シンクロウェーブルーム』…誰もそう呼ばないけど。
通称は『ダイブルーム』、そこに置いてあるレースカーの本体のような形をした物がウェブに入り込む為の装置。
『準備できたら声かけてねー』
スピーカー越しの田崎さんの声に軽く手を上げて答えて、三台あるマシンの一番奥に近づくとセンサーが働いて中央部分が開きシートが現れた。何時もながら妙に仰々しいと思う…まぁ、実はこれン百万する高級モデルのマシンではあるんだけれど。
本来、家庭用なんかはフルフェイスのヘルメットタイプでお値段も新型のPC一台程度、シート型だと大体百万から…この仕事には本当はこの辺りで十分。でも、この会社で使っているのはより精密で使用者のメディカル監視システムまで付いた高級な某メーカー物。見た目のデザインも当然ながらシートの寝心地も良く、どう見ても会社の規模に見合わない為見学に来た人には良く首を捻られる代物でもある。
…コレがほぼ全部社長の趣味とか、普通やらないよね……。
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