始まりの日②

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 魔法陣から現れたのは一人と一匹、これが私のサポーター。ゲーム内での分類で言うなら、『サーヴァント』と『ペット』になるんだけど…勿論、GMアカウント用の特別製。 「お久しゅう、主」  胸に手を当て私を主と呼んだ青年、彼の名前はフレイ…名前こそ私が決めたけれど、彼は元々見た目が良すぎて使い所が無いと言う理由で没になったNPCだったりする。  本来、ゲーム内での『サーヴァント』は課金ユーザーが自分のアカウントを使って作成出来る補助キャラの事なのだが、GMアカウントの『サーヴァント』には没デザのキャラを流用している。  私に寄り添うように立っている彼は、レモン色に近い鮮やかな金髪にブルーアイ、中性的に整いまくった顔にスラリと高い身長…没を言い渡された時にデザイナーが泣き崩れたほどの渾身の力作だったんだとか。  まあ、現在彼の身に付けている装備だけはゲーム内で普通に使用されているから、没と言っても無駄にはならなかったようだけれど。  今現在、彼を『サーヴァント』としている私ではあるけれど、まさか最初は希望の能力値だけ伝えてお任せしたら彼が来たとか…言えない、絶対に言えない……。何の因果か、私に同行しているため普通のプレイヤーとの遭遇率はレアモンスター並みに低く真っ当なNPCですら無いのに毎回NPC人気投票の上位に入っているのだから……。  まあそれはともかく、魔法剣士系の最上級職である『エンシェントナイト』に設定されている彼は間違いなく私の優秀なサポーター、開発陣渾身のA.I.搭載でサポートの的確さはチートと言われてもおかしくないレベルだ。
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