始まりの日②

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「クゥー……」  そして私の腰にすり寄ってきた銀色の大きな狼が『ペット』のフェンリル…私のネーミングセンスは気にしない方向で。  狼と言ったけれども、正しくは狼に似たレアモンスターでイベントのみで遭遇でき本来はペットに出来ないモンスターだ。勿論、能力値は通常ゲーム内でペットにする事のできるモンスターと比べてずば抜けている。  選ぶように言われた当初、ブレス系と数種類の魔法を使いこなすレアなイベント用ボスモンスターとは露知らず見た目だけで選んだ私は…この子については後悔は無かった。見た目を裏切らなかったふわふわサラサラの毛並みに、今も癒やされまくっているから。 「はぁー…今日もPKKなんだよ、フェン~」  抱きしめ甲斐のある大きなもふもふの体に抱きついて溜め息、ゲーム内のペットは当然のごとく生物じゃないからいくら抱き締めて撫で回しても嫌がらない。本来は戦闘補助用キャラとして用意されている『ペット』ではあるけれど、100%愛玩用の人もけっこういるし。  今回の鬱なお仕事内容をフェン相手に愚痴って少し落ち着いた所で、私はフレイとフェンを連れて目的地の森へと歩き出した。…何で人の形したフレイの方に愚痴らないのかと思うかもしれないけど理由は簡単、だって所詮A.I.の戦闘補助キャラでしかないから相槌すら返してくれないんだもん。無反応ならまだ動物なフェンの方がいくらかマシだし、第一ひたすら無反応の超絶美形に一人グチグチ絡む平凡アバな私なんて…そんなのただの変態だよ?
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