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佐々木ははっと高屋のほうを見た。
考え事をしていたので急に話しかけられて驚いたのだろう。
佐々木は小さく息を吐く。
どうするも何ももはや高屋の中では答えは一つしかないんだろうという感じで言った。
「俺たちで捕まえるって言ってほしいんだろ。俺も許しがたいのは一緒だし、俺たちで捕まえられたらいいんだろうけど、現実的に出来ることは情報を集めて警察に知らせることぐらいだろ。それももしこの事件にお前が関わっていたらの話だけどな」
佐々木は努めて冷静でいようとしているみたいだった。
由利も高屋も抑えきれない感情を抱えている。
だからここで指揮を執るのは自分しかいないと思っているに違いない。
だけど、その冷静さがあまりにも冷たく感じた。
知り合いが被害に遭って、自殺までしたっていうのにどうしてそこまで落ち着いていられるのだろう。
「関わってるに決まってるだろ。俺はそのせいで襲われたんだ」
「それは間違いないだろうが、それと事件は本質的には別物だ。事件にお前が直接関わっているわけじゃない。だからこそ出来ることは限られてくる」
「お前、昨日は俺たちで捕まえようって言ってただろ」
「捕まえようとは言ってない。捕まえられたらいいなって言っただけだ。落ち着いて考えてみろよ。警察が何カ月も捕まえられてない犯人を俺たちが捕まえられると思うのか?」
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