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「うるせえな。わかったよ。でも、このまま見てるだけなんて我慢出来ねえよ。捕まえることは出来ないにしても俺たちにだって出来ることはあるだろ」
「そうだよ。私たちで出来ることだけでもやろうよ」
由利は佐々木の気持ちに火を着けたかった。
敵討ちをしようという気持ちを見せてほしかった。
それでも、佐々木は冷静に受け流した。
「じゃあ、とりあえず今、分かっていることを整理しよう」
やはり佐々木は二人と向いている方向が違う。
冷静に話を進めたがっている。
話を整理しようとするのがその証拠だ。
「犯人はこの制服を着ていて、被害者はこのことをもちろん知っていた。そして、事件は最近、この近辺で立て続けに二度起きた。事実として分かっているのはここまでだ」
そう言って二人の顔を交互に見てきた。
「そうだ。それともう一つ、俺が襲われた理由もはっきりしたことになる」
高屋は頷く。
「事実とは今のところ言えないが、それは間違いないだろうな。でも、犯人は何で制服を着ていたんだろう。制服を着るメリットはほとんどないんじゃないのか?」
ほとんどということは少なからず思い浮かぶことがあるのだろう。
それでもこちらに意見を求めるのはやはり落ち着かせるためだ。
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