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「どういうことだ?」
高屋は怪訝な顔で佐々木に訊いた。
「この学校の生徒かOBが犯人なんじゃないかと思ってる。それが自然な考え方だろ」
佐々木の意見は言うとおり自然なものだった。
制服を持っていた理由はそれで納得出来る。
だけど、わざわざ自分の身元を明かすようなことをする理由はない。
それも訊こうとした時、何かに気付いたらしい高屋の勢いがまた増した。
佐々木がのけぞってしまうほどだ。
「ちょっと待て。もしこの学校の生徒が犯人なら、犯人は俺ってことになるじゃないか。坊主は俺以外にいないんだから」
佐々木は掌を高屋の方へ向けて、落ち着くようにジェスチャーで伝えた。
「犯人は二人組なんだろ。一人がこの学校の生徒なら、問題はない。制服を二着持っている奴は珍しくないだろ。身長が伸びて制服を買い替えることだってある」
「じゃあ、制服を買い替えた奴を探せばいいのか。よし、これから制服を買い替えた奴を探しに行こう」
「だから、落ち着けって言っているだろ」
佐々木の声が大きくなった。
苛々しているのが分かる。
「まだ可能性の一つだ。結論を出すには情報が少なすぎる。それにまだ制服を着る理由が分からない。制服というのも勘違いの可能性だってある」
それに応じるように高屋も声を荒げた。
「お前は慎重すぎるんだよ。こうしている間にも犯人は次の事件を起こしているかもしれないんだぞ」
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