三年8

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 この時に由利は初めて、誰よりも佐々木自身が気が気でないのだなと思った。  許せない思いを抱えているのに感情を抑えている。  一瞬、大声を出してしまったのはその感情が僅かにこぼれてしまったのだ。  自分も佐々木に合わせなくてはと思った。  佐々木は一つ深呼吸をして、声のトーンを抑えて言った。 「とにかく、情報を集めることが最優先だ。今までニュースだってまともに見てなかっただろ。俺たちはあまりに知ってないことが多すぎる」  そう言って佐々木がこちらをちらりと見てきた。  その目は高屋を落ち着かせるのを手伝ってくれと言っていた。  高屋の身に危険が迫っているのははっきりとした。  ここで高屋が勝手に動くと今度は本当に危ないかもしれない、と。  そんなことは分かっていた。  今、佐々木に合わせようと決めたし、言われるまでもなくそうすべきだと思っていた。  それでも佐々木の発言にどうしても気になる箇所があった。  それを言わずにはいられなかった。 「あたしは結構、ニュースとか新聞、見てたよ。大祐君は男の子だから関心がなかっただけじゃないの」
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