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高屋は教室で佐々木と別れた。
佐々木は言われた通り木島に呼び出されたのだ。
遠回りになるが、佐々木の代わりに由利を図書館まで送って行くことにした。
今はまだ明るいし、自分の身に危険なことが起こることはないと思っていた。
もしいざという時になっても暗闇でなければ何とか出来るという自信もあった。
何より由利一人で図書館まで行かせるのを佐々木が嫌がっていた。
小林が被害にあったというのが堪えたのだろう。
夕方であっても油断出来ないと言っていた。
そのため、由利にはすぐに家に帰ってほしがっていたが、由利は、「犯人にあたしたちの勉強まで邪魔されるのって許せない」と主張し、これ以上犯人に好き勝手されたくないと抵抗していた。
そうなると佐々木の代わりになるのは自分しかいない。
高屋は由利を送って行くと名乗り出た。
高屋は自転車を押しながら由利と並んで歩いていた。
「大祐君、何するつもりなんだろう?」
由利がぼそっと呟いた。
「さあな。あいつのことだから月曜日になってみたらもう解決してました、みたいなこともあり得るんじゃねえの」
「そうなればいいけどね」
「良くないって。あいつはいつもそんなところがあるんだ。今回もまたそんなことで終わらされたんじゃこっちは完全に消化不良だよ」
「消化不良でもいいじゃない。今は犯人が捕まるのが一番だよ」
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