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しばらくして、生徒指導の先生が来客用の部屋に入ってきた。
「すいません。遅くなりました」と木島に謝っている。
佐々木は少し戸惑いを覚えた。
こいつが生徒指導だったのかと思うほどに相応しくない外見だったからだ。
実際、顔は見たことがあったが、まさか生徒指導を任されているだなんて思いもしなかった。
普通、生徒指導と言えば、いざ生徒と殴り合いになっても蹴散らしてしまうほど体格が良く、生徒を睨みつけて射すくめさせるような鋭い目つきをしているものだろう。
だけど、今、目の前にいるのはおそらく二十代後半と思われる佐々木よりも小柄な男だった。
そしてしゃべり方も相応しくない。
これでは生徒は好き放題じゃないかと思ったが、よくよく考えてみればこの学校にそんな存在は不要なのだろう。
つまり若手が無理矢理押しつけられた役職ということだ。
「高屋君から聞いたかもしれないが、実は今朝早くに警察が来たんだ」
生徒指導は木島の横に座りながら話しかけてきた。
「だいたいの話は聞きました」
今度は相手の顔を見てはっきりと言った。
何を知っているのか訊き出さないといけない。
「じゃあ、話は早いね。それで、君からも話を聞きたいと思ってね」
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