三年10

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「訊かれたことについては答えますが、今言ったように僕はだいたいの話しか聞いていません。それでは、答えようがないし、今、僕がここにいること自体、納得がいきません。詳しい話を聞かせて下さい」  佐々木は語調を強めて言った。  こういうタイプはこちらが強気に出れば先に折れるのではないかと思った。  もしかしたら、高屋に言わなかった大事なことを隠し持っているのではないかと期待していた。  予想通り、生徒指導はこちらの迫力に気圧されたようだ。  生徒相手に気圧されるような奴が生徒指導で大丈夫なのかともう一度心配になった。 「け、警察の人が言うには、昨日も例の事件が起きたんだ。被害者は、あそこの女子高の生徒で……」  生徒指導は顔を伏せて喋っている。  その喋り方には苛々させられた。  しかも、ここで聞きたいのはそんなことじゃなかった。  なので、それ以上無駄話をさせないために、佐々木は彼の言葉に割り込んだ。 「それは知っています。僕が聞きたいのは、なぜ急に犯人が僕らの高校の制服を着ているという話が出てきたのかということです。そのことがなければ、高屋が疑われるようなことはなかったはずです」  これに答えたのは木島だった。 「被害者の証言に決まっているだろう」  そんなことも分からないのかというような口調で言ってくるので腹が立った。
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