61人が本棚に入れています
本棚に追加
そのコラムには今回の事件と同じようなことが書かれていた。
事件の場所は自宅で、振りかえると見知らぬ男が立っていた。
そして抵抗する間もなく犯された。
被害者は数年経った今でも当時のことがフラッシュバックし、社会復帰出来ないでいる。
男の人を見ると痙攣を起こし意識を失ったことさえある。
当然、男がいる職場では働けない。
なのにその犯人は初犯で連続犯ではなかったということで刑期は比較的短く、模範的な態度からさらに短くされた。
犯人は間もなく社会復帰を果たし何人もの人がそれを支える。
出所者が社会復帰出来ないことが再犯を招くということで職業斡旋などをしてもらえるのだ。
一方、被害者は世間の風は冷たく彼女の状況を理解しようとする人は少ない。
わがままだ、自分が被害者であることに甘えているなどという言葉を浴びせられることさえある。
犯人がこれほどまでに早く刑務所を出られるのは、逮捕後何度も彼女に謝罪の手紙を書き、そして出所後まずしたいことは被害者に直接謝りたいというほどの反省を見せたからだ。
だけど、それは犯人の自己満足にしかなりえないのだ。
犯人は被害者に手紙を書いているのではなく自分自身に書いているにすぎないのだ。
そうすることで自責の念から逃れてきている。
被害者にしてみれば事件のことを何度もほじくり返されたところで傷が深くなるだけだ。
加害者と被害者を取り巻く環境は本来あるべき形からは逸脱している。
最初のコメントを投稿しよう!