三年10

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「ここにいたんだ」  佐々木が振り向くとそこには由利がいた。  壁にかかった時計を見ると夜の八時だった。  と言うことは、もう二時間以上図書館にいたということになる。  記事に没頭していて、時間を忘れていた。 「今日は一人で帰らないといけないかって、どうしようかって思ってたんだよ」  由利が困ったような顔を向けてくる。 「ごめん。本当に後で行くつもりだったんだけど、気が付いたらこんな時間になってた」  それを聞くと由利は温かい笑顔になり、「いいよ。来てくれたんだから。早く帰ろう」と言ってくれた。
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